水滴が月の頬に垂れ落ちる。

もちろん汚水だ、直ぐに鼻孔をついたので荒々しく拭うとひりひりと頬が痛んだ。そして再確認する。


これは紛れもなく現実なんだと。





「………さて、どうしようか」



ぐだぐたと感傷に浸っていても仕方がないので、半ば呆れながら長い道とも言えぬ道を歩き出した。

ちなみにどこに続いているかも分からないので、ここが地上で云うどの位置かも把握しきれない。


月は恐怖を自分の中で押し殺しながらひたすらに足を進めていく。



(そもそも、なんで私……)




どうして堕とされたんだっけ?