「初めまして、かな?眞田って言うんだけどよろしくね」


銀色の髪を揺らして、手を差し出してくる眞田は月の警戒心を誘った。戸惑いながらも手を重ねようとすると、その前に眞田の手が伸ばしたそれを掴まえた。


「っ」

「君は…地上の子だね」

「………いた、」


「武器を使ったことのない手だ」



多分この人は強く握っているつもりはないのだろう。しかし、実際は微々たる殺意とかそういった感情が込められている気がした。



「おい、眞田」



あまりの強さに声を漏らした時、黙っていた青年が低い声で一括した。


「うんうん、分かってるよ」




パッと手を離されてから手首を見ると案の定、ほんのりと赤くなっていた。どれだけ強く握ったらこうなるんだか。


「自分が拾ったもの取られたら、そりゃ気分悪くなるよねー」

「そういう意味じゃない」

「時に君、名前は何て言うのかな?」


話のテンポが掴めない人だ、と心の内思いながらも名前を告げた。眞田はそれを噛み締めるように何度も私の名前を繰り返し呟いて、にっこりと笑った。




「───うん。やっぱり君は此処に似合わないね」



「…………え、」




笑顔に含まれる、その言葉の裏に感じる。


なんだ、この劣等感は。