アルトは上半身の衣服を床に脱ぎ捨て、自分の体を腕で抱え込むように身体を丸めていた。その腕に食い込んだ指は尋常では無いほど力が篭っている。


「な、なに?どうしたの!」

「……っよ、るな」

「ねえなに…っどっか痛いの、」

「、すぐ収まる…っ、ぅ、あ」


益々彼は苦しげに身をよじらせていた。
その状態に何もできない月も、涙目になりながらとりあえず彼の背中を摩る。

ーーーー熱い。

(火傷してもおかしく無い熱さ…)

体がまるで発火しているかのように熱く、ずっとは摩ってはいられない痛みだった。

こめかみから、身体から、汗が垂れ落ちる其れは余りにも彼の命を削るようで。月は震えが止まらなかった。


「どうしたらいいっ…アルト!」

「っ、大…丈夫」

右手で制止され、その間にアルトは体の中で暴れ回る何かを無理やり押さえ込むように、息を飲み込んだ。するとどうだろう、蒸気の様なものが身体から出たと同時に段々と彼の顔色が和らいでいくのが分かった。



(おさまっ…た?)

ホッとして、我慢していた涙が瞳から少し溢れ落ちた。

何が何だか全くわからないが、彼がもう苦しんでいないことが分かっただけで漸くまともに酸素が吸えたように思える。

「ある、と…よかった、」

「……はぁ。何で、アンタここに…」

「、ちゃんと説明して」

「………」


じゃないとこんな姿見せられて何もないです、何て納得できない。
月の力強い目に、アルトは額の汗をぬぐってから小さく息を吐いた。…彼女への隠し事は思ったよりも難しいらしい。