花倉は恥ずかしさのあまり赤面しながら、手で顔をおおった。

「ふふふ…楽しみだなぁ…名字そのままって事は、出戻ったかぁ?」

「…知らん…」

「辞めなくて良かったなぁ、ここ…引き抜き来てたんだろ?」

「…内緒ね…」

「あのさぁ…オレと彼女が親戚だって言ったら、信じる?」

花倉はガバッと起き上がると、信じられない目で安達を見た。

「…うっそ〜」

これ以上ない満面の笑みで、安達は笑った。

安達にまでからかわれ、花倉はガクリとうなだれると、社員が行き交う廊下にまた寝込んだ。



クスクスと笑う女子社員の視線も気にならないほど、花倉は全てがいっぱいいっぱいだった。

横で笑う安達の声さえ、心地良く聞こえてくる…

その声を聞きながら…花倉は、人生って結構面白いかも…と心の中で呟くのだった。