――すべては、些細なことから始まったんだ。 「椎那ーっ、早く帰ろうよ!」 「ま、待ってよ花菜ちゃん…!」 高校に入学してから2週間が経ったある日の放課後。 私天宮椎那(あまみやしいな)は数メートル先を歩く親友、高槻花菜(たかつきはな)ちゃんを追いかけて小走りで廊下を走っていた。