「天使だな」

「え?」


悠太は優しく笑って、あたしに言った。


「男の幸せを願うとことかさ、映画の天使みたいだなって。ほんと、エンジェル結花ちゃんだな」

「じゃあ、エンジェルはそろそろ帰るね」

「送るぜ?」

「ばぁーか。そこは女の子のキモチを考えなさいっ!」


……離れられなくなちゃう。

離れたくなくなる。


「ぁ、悠太ぁー」

「んー?」


あの映画の天使が、どんなキモチであの言葉を言ったのか、今ならすごくわかる。

彼が幸せになるのが嬉しくて、たまらなくて。

けど、切なくて。

悲しくなんてない。でも、ただ、もしも叶うのなら。

その幸せの理由に、自分が関わっていたい。

そんな想いを込めて、彼にこの言葉を伝えるんだ。





「ずっと、好きだよ……っ」





彼の記憶に残る、最高の笑顔で。