一通り見終わり、あたし達は外に出た。

外はもうすっかり暗くなっていて。

「寒いなー」

「ねー。……悠太、あたしたちがさつき合った時のこと、覚えてる?」

「覚えてるに決まってんじゃん。つか、忘れらんねーよっ。花火大会で結花が告白してきて。“ちゅきあってくださいっ”って噛みながら」

「う、うっさいっ!」

「ははっ」

……悔しいけど、こんな風にバカにした風に笑う君の笑顔が、たまらなく愛しい。

「あの時の結花は、すげぇ可愛かった」

また……そんなことをサラッと言って。

この人は、どれだけあたしを夢中にさせたいんだろう。

ほんと……どんどんあたしを夢中にさせるんだから。


でも、

悠太が夢中にさせるべき人は、あたしじゃない。



「ねぇ、悠太」

「んー?」







「別れよっか」


あたしは、君の幸せを一番に願うから。