「ついてくんなっ!!」

「えー。だって俺も、部活だからグラウンド行くしー」

なんて笑いながらついてくる。

ローファーに履き替え、下駄箱を出ると西沢悠太に呼び止められた。

「エンジェル結花ちゃん」

「なに」

「名前、なんていうの」

「はぁ?」

「フルネーム」

「……沢木結花」

「沢木結花、ね。よし、覚えたっ。

んじゃ、またな。



沢木結花ちゃん」




そう優しく笑って、西沢悠太はグラウンドへと走って行った。




不覚にも、


あたしはその背中に、笑顔に、



惚れてしまったんだ。