「私っ、引っ越す......!」 「は?」 驚いたように私を見る港。 ああ.......もう、ダメ、かな...? 「えへへ、お母さんと、お、とうさ、んが....ね...」 無理して笑ってみるけど、上手く笑えない。 もう無理、上手く喋れない。 いつの間にかポロポロ出てくる涙。 「大丈夫だから、椎」 ギュっと私を抱きしめてくれた港。 港の匂いがする。 「落ち着けよ、椎」 いつも意地悪してくる港。 でも今は別人みたいに優しい。