小学校の頃から友達なんていなかった。
いたのは、名だけの友達。
いじめられた時だって、助けてなんてくれなかった。
だから中学に入って、千里と友達になれて、本当に嬉しかった。
思えば、千里はあたしが輝のこと好きだって知らないのに。
ついあんなこと言っちゃって。
羨ましかったの、輝は千里のこと好きだから・・・。
ごめんね。
「おはよう」
千里にそういうと驚いたような声で
「どうして私の家の前にいるの?」
って言ったから「ん~一緒に学校行こうかな?って思って」
って言ったら急に千里が泣き出した。
「ひっく、ごめんっごめんね苺、グスっ」
「えっ?急にどうしたの?」
「私ね、本当に、輝のこと、好きじゃないの」
「うん」
「頼まれたの、そう言ってくれって」
「・・・誰に?」
「それは言えない、グスン」
「分かった」
「あとね、輝は私のこと好きじゃないよ、だってほかに好きな人いるもん」
「どうして分かるの?」
「実は幼馴染なんだぁ」
「ほら、そこ輝ん家」
「えっ?」
本当だ、表札に 増本 って書いてある。
「分かってくれた?」
そう言うと千里はいつものようにえへへ、と笑った。
「学校、行こ、遅れちゃうよ」
「本当だっ!」
そういって走り出した。
「ギリギリセーフ」
教室の時計を見ると8時4分をさしていた。
「あっつ~」
まだ10月だからさすがに暑い。
「あっ」
ハッとした時にはもう遅かった。
あたしの隣は輝。
あたしは今汗をかいている、つまり汗臭い。
どうしよう、そんなことを考えていると、
「松岡、おはよ」
「あ、うん、おはよ・・・」
来ちゃったよ~。どうしよぉ~(泣)
さらば、あたしの初恋・・・。
なんて思っていると、
うちのクラスのバカ男子が
「あれ?この辺なんか匂わない?」
とか言い出すし!!
いやぁぁぁぁぁ
やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ
輝にきこえちゃうぅぅ
「本当だ」
その声は紛れも泣く輝の声。
「なんか言い匂いするね」
えっ?もしかしてばれてない?
ラッキー、でも誰だろう?
あっ分かった!!シャンプーの匂いだ。
汗かいたから。
よかったぁ~。
初恋が終わるとこだったよぉ。
そういえば、千里の言ってた輝の好きな人って誰だろう?
まぁそのうち分かるでしょう。
ってゆ~か昨日千里のこと考えててあんまり眠れなかったから眠い。
一時間目は道徳?!うわっムリッよし、寝よう!!
「か、つおか、松岡!!」
「はいぃ」
思い切り返事をしたあたし。
どうやら呼んでいたのは輝らしい。
「どうしたの?」
そんなとぼけた事を言っていると、
「もう授業終わるよ」
「あ?本当?」
道徳も終わるし起きようとしたそのとき、
「キーンコーンカーンコーン」
あれ?このチャイムがなるってことは・・・
あたしはあわてて時計をみた
「12時?」
みんなが一斉にあたしの方を見た
すると先生が
「やっとお目覚めか?松岡」
「あ、あはははは」
とりあえず笑ってごまかす。
まさか、1時間目からずっと寝てた?
「寝顔可愛かったよ」
見られてた・・・?
しかも輝に・・・?
「       」
あたしは声にならない叫び声をあげた。
もう恥ずかしくて死にそうだ・・・・。
まさか、輝に見られていたなんて。
「はぁ」
もういやだぁぁ。
授業が終わってもあたしの気分は暗いままだった。
「大丈夫?」
と笑いながら千里が話しかけてくる。
「もう嫌だぁ、輝に見られてたとか恥ずかしくて死ぬぅ」
「・・・え?」
遠くで声がした
「輝・・・?って?」
見ると輝が赤面でこちらを見ている。
ん・・・・?あっ、あたしもしかして今、輝ってよんじゃった?
どうしよ~。


輝side
今日、苺が隣で寝てて、素直に可愛いと思った。
本当に可愛かったから「寝顔可愛かった」
って言ったら、前と同じようにみるみるうちに顔が赤くなった。
また見れて嬉しかった。可愛かった。
今思い出しても顔がニヤける、やべ俺今ぜってーキモイ。
「もう嫌だぁ、輝に見られてたとか恥ずかしくて死ぬぅ」
「え・・・?」
「輝・・・?って?」
今、苺、俺のこと輝って呼んだ?いつもはそう呼んでくれないのに。
俺はそれを早く確かめたかった。
だから苺と千里のところに行って
「ねぇ、今俺のこと輝って言った?」
って言ったんだ。
そしたら苺が真っ赤な顔で「うん」とか言うからもう可愛くて。
「そっか、じゃあこれから俺も苺って呼んでいい?」
とか言ったら顔をさらに赤くして「ど、どうぞ」
とかいうから・・・。
俺のテンションすげ~上がってんのが自分でも分かる。
あれ・・?俺ってこんなキャラだっけな?
まっいっか。


千里side
何気にいい雰囲気の2人。
ってなんか私お邪魔虫じゃない?
とか思うし。
たぶん本人は気付いてないだろうけど輝すっごいデレデレしてるし。
苺なんかさっきから顔真っ赤だし。
あ~あ私も恋したいなぁ。