「ただいま。」


自宅アパートの玄関からそう告げると、いつもは返ってくるはずの可愛い声は今日は聞こえなかった。


どこか出掛けているんだろうか。
そう思いながらリビングへ向かうと、やはり彼女の姿はそこには無く代わりに沢山の林檎がダイニングテーブルに山積みになっていた。
そのすぐ後、ぱたぱたと可愛らしい足音が聞こえた。


「あ!ごめんなさい帰ってたんですね。すぐ夕飯用意します!」

「ああ、うんありがとう。…どうしたの?この林檎。」

「あ、親戚の方に頂いたんです!後で一緒に食べましょう。」