途方に暮れていると、自分の身体が勝手に動き始めた。手、足、腰が動き出した。

自分の意志では、制御できない。そのうち、全身で踊り出し始めた。宏は、ダイナミックな踊りを披露する。

誰もいない交差点のど真ん中で、宏は激しく踊っている。

腰を振り、片足を上げ、ぐるっと回り、首や手足を回し、身体ごと高く飛び上がった。
足を大きく広げて、地面に着地した。そのまま、両足を縮めて立ち上がる。

また、華麗なる踊りを披露し始めた。踊っている宏の顔は、真剣そのものだ。
ステップを踏んでいる、宏の足。

次第に疲れが見えてくる。それでも、身体は勝手に動いている。
宏は、人差し指で拳銃のポーズをとった。

「バンっ」とつぶやいた。