交差点
チアガールたちが消えて、今は誰も通行していない。

各通りから、男女の小学生たちが、母親に連れられて交差点内を渡り歩き出した。
小学1年生のA子が、母親に手を引かれて中央までやってきた。

母と子供の親子が多く、交差点は混雑している。

A子の手と母親の手が、離れてしまう。母親は、群衆の中に巻き込まれて、そのまま消え去ってしまった。

迷子になって、交差点の中央で立ち尽くすA子。思わず、泣き出してしまう。

A子「お母さーん、お母さーん」
鼻水をたらし、大声で号泣している。

他の親子たちは、泣くA子を無視して交差点内を闊歩(かっぽ)している。

泣いているA子の周囲では、次第に親子たちの往来が少なくなってきた。

すると、その母親たちも子供たちの手を離し出した。離した途端に、母親たちは踊りながら交差点から消え去って行った。

母親の手から離れた小学生(男女各50人)たちは、交差点内に取り残された。

小学生たちは、ゆっくりと歩いている。泣いているA子の背後で、横に整列を始めた。総勢101人。

A子の右側に女子児童、左側に男子児童が横に並んだ。
泣いているA子の、大きくズームアップした顔が現れる。

突如、A子は泣き止んだ。眼光が鋭い。左斜めの怒ったような表情が、まるでキッとカメラを睨みつけているようだ。

泣き顔から、突然怒った顔。両極端な小学生1年生のA子である。