ほんと、きっと一生のうちで絶対に言う機会はないと思っていた台詞を10代のうちに言うことになるなんて、思いもよらなかった。

しかし2人には、歯の浮くような台詞を、こうもあっさりと言えてしまうくらい、今のあたしは切羽詰まっている、と思ってもらいたい。


だって相手はナオだ。

あたしの大事な友だちである、超絶可愛いグリコちゃんを泣かせたバカな男なのだ、それに、異性として意識したことなんて、これっぽっちもないような、ただの幼なじみである。

そう、ただの幼なじみ。

それ以外には、ない。


「……あのさ、カナ。グリコちゃんが言ったことは、あくまでグリコちゃんの推測で、ナオ君本人からは何も言われていないわけでしょ? カナの気持ちも分かるけど、とりあえず、場所を変えたいよね。例えば、公園とかさ」

「公園……」

「そう。あたしたち、帰りたいの」


穂乃花と視線を合わせ、莉乃は言う。

……確かに。

2人にも予定というものがあるわけで、ナオがあたしを好きかもしれない、なんていう確証のない妄想に長くつき合わせるのは申し訳ない。

穂乃花も、口にこそ出さないけれど、本当は早く帰って家族でケーキを食べたいはずなのだ。