なんでも、あたしがそばにいるだけで元気が出てきて、次の恋に前向きになれるのだそうだ。
 
きっかけは、小さい頃のほんの些細な出来事から端を発していて、その頃は、ただナオが笑ってくれさえしたらいいと思っていた。

けれど、中学、高校と年齢を重ね、恋愛がどういうものかが具体的に分かってくると、なかなかの重みがあり、あまり、ほいほい言いたくはないのが、あたしの本音だったりする。


ナオのことは好きだ。

一番身近な存在として、幼なじみとして。

ただ、ほかの女の子たちが言うところのイケメンに成長してしまったナオは、この通りの、フラれてもケロリとしているようなバカのため、なかなか目が離せず、あたしはいつも保護者のように目を向けていなくてはならない。

ナオの世話で手一杯のあたしは、自分の恋愛もままならず、いまだに恋愛経験値ゼロである。

はあ……。


「よし、なんか元気出てきた!サンキュー、カナ。新しい恋、探しに行ってくる!」

「地球の裏側まで行っちゃえ、バカナオ」

「うわ、ひっでー。カナに彼氏ができるまで、俺もカナのそばにいるって約束してるだろ。忘れてんじゃねーよ、バカナ」

「バカナって言うな!」