「んー、カナがそう言うなら、まあ、とりあえず行ってくるわ。コロンの世話がある、って言ってたし、たぶん豚舎だろ。そんならなー」

「ちゃんと彼氏らしいことを言うのよ」

「へいへいー」


ぐいぐいと背中を押すと、なんだか腑に落ちない言い方ながらも、ナオはどうにか承諾し、やっと家庭科室をあとにしていった。

改めて家庭科室に入ると、莉乃と穂乃花が「お疲れだったね……」とねぎらってくれ、ナオのケーキのことはうやむやにしておいたことを伝えると、2人はほっと胸をなで下ろす。


しかしまた、どうしてナオは、自分に合っているのはあたしかもしれない、なんて、急におかしなことを言い出したのだろう。

だから、お互いに裸を見せ合ったとしても、何も起こるはずがないんだ、っての。

ほんと、ナオの考えることは分からない。

……あ、いや、裸を見せる、見せないの前に、ナオの裸なんて見たくないし、もちろん、あたしの裸だって見せたくないのだけれど。


「ちょ、カナ!何やってんの!!」

「ぎゃーっ!砂糖、入れすぎたーっ!!」


けれど、この日のあたしは、ナオのことがやけに気になり、凡ミスをしてしまったのだった。

……ナオめ、許さんっ。