濃い緑の間から零れる太陽の欠片が風に揺れている。

木漏れ日が煌く光景に、ボンヤリと香織の笑顔を重ねながら、窓から吹き込む緑の風に身を委ねる。

涼やかな風は、瞳を閉じた僕を瞬く間に浅い眠りへと誘っていった。


夢の中では人は無防備になる。


どんなに強靭な理性の持ち主でも、無意識の領域では無力だ。


『…僕にだって…君の全てを欲しいと思う欲望があるんだよ』


あの時僕が言いたかった本当の言葉が無意識の空間に響き渡る。

君の全てが欲しい

永遠に消えない僕の印をその胸に刻みたい

僕の心に渦巻く邪な思い…

自分でも止めることが出来ないほどに激しいこの気持ちを…

君は恐れずに受け入れることなど出来るのだろうか?