【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


「あいつは怪我をしているね。
血の跡が森の中に続いている。
…今ならそんなに遠くへは逃げられないはずだ。
必ず捕まえるよ。二度と怖い思いはさせない」

「廉君…お願い、追わないで。
あの人追い詰められているわ。
何をするか判らない。
あたし…怖くてたまらないの。
もし廉君にまで何か遭ったりしたら…」

重ねた手から震えが伝わってくる。

僕は一旦手を離し、香織を背後から抱きしめるように身を寄せ直してから、もう一度香織の小さな手をすっぽりと包み込むようにして手を重ねた。

「…小村と何があった?」

質問と同時に香織の肩が大きく跳ね、重ねた手の震えが大きくなった。

彼女の中の恐怖を振り払うように背中からギュッと抱きしめ、耳元で優しく語りかけた。

「…ねぇ、香織。
僕は君が好きだ。
誰よりも大切に思っている。
君の背負っているもの全てを受け入れてずっと一緒に歩いていたい。
何があってもこの気持ちは変わらないよ。
だから…だから僕には全てを話して欲しい。
君が受けた痛みや苦しみを僕に預けて欲しいんだ」