「香織、辛い事を言うけど落ち着いて聞いて。
これからいう三つのことを約束して欲しいんだ。
まず一つ、安田さんをお父さんと呼んじゃいけない。
この森の中には小村以外にもおじい様の手の者が潜んでいるかもしれない。
誰が敵か判らない今、二人の関係を知られるのは危険なんだ」
香織はハッと表情を硬くした。
昨日からの一連の出来事に加え、先ほど知り得た実の両親の真実。
そして一族の闇をも垣間見た彼女には、直ぐに意味が解ったらしい。
安田さんの耳元に『お父さん』と小さな声でささやいた後、決意を込めて言った。
「護ってくれてありがとう。
今度はあたしが護る…。
絶対に死なせないからね、安田さん」
僅かな表情の変化も見逃すまいと安田さんを注視する瞳には光が戻り、表情は凛としていた。



