血まみれの安田さんと香織。
そして傍らには血が付着したナイフ。
地面に広がる血の量からも、二人が刺されたと考えるのは必然だった。
だから僕は思い込んでしまったのだ。
この血は二人が刺されて流したものだと…。
だが香織に刺傷は無く、安田さんにも新たな傷はない。
だとしたら明らかにおかしい。
僕が手にしているナイフの血は誰のものだ?
地面に広がる大量の血は誰のものだ?
考えられるのは一人だけだった。
森へと続く血の跡を視線で追い、闇の中に傷を抱える男の幻を追う。
そこには既に先ほどの気配は感じられなかった。
刺したのは安田さんだろうか?
それとも…?
瞳に涙を浮かべ、父を呼びながら止血を続ける香織の血に染まるブラウスで視線が止まった。



