【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~



「え…? 傷が…ない?」


香織の身体には刃物の傷などなく、それなりの覚悟をしていた僕は呆気に取られた。

洋服から染みた血で汚れてはいたが、出血を伴う外傷はなく、思わず安堵の息を吐く。

「…刺されて…いない?
じゃあこの血は安田さんの…?」

ガックリと脱力して膝をついた。

同時に理性が戻って、乱暴に香織の服を肌蹴たことが恥ずかしくなり、慌てて戻そうとする。


だが、その手を下げることはできなかった。


香織の身体には確かに出血を伴う傷はない。

だが僕は見つけてしまった。

さっきベッドで見た真っ白な肌にはなかったはずのものを。

闇の見せた錯覚だと思いたくて、恐る恐る携帯のライトで照らし診る。

そこには血の汚れで直ぐには気付けなかった忌まわしい傷が、ハッキリと浮かび上がった。


患部を照らすライトが怒りに震えた。