【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


この世にいない人に助けを求めるなんて…。

そんなことをしてなんになる?

冷静になれ。

落ち着いて考えろ。

僕はまだ全力で彼女を救う努力をしていない。

血の香(か)に呑まれて一瞬でも弱気になってしまうなんて、どうかしていたんだ。

それまでの不安がスウッと退いて、神経が研ぎ澄まされていく。

難渋していた交渉が一気に流れに乗った時と良く似た感覚だった。

怖いものが無くなり、不可能でも可能に出来る気がしてくる。

圧倒的な力に背中を押されるような、この感覚。

胸の奥から、二人ともきっと助けてみせると強い気持ちが湧き出てくる。


ー香織を護るのは神でも悪魔でも百合絵さんでもない。

ーこの僕だ!

そうさ、僕にはできる。

誘拐や暴漢に襲われることを想定したシュミレーションは、子供の頃から何度も受けたし、こういう時の応急処置も学んだ。

いつもと同じ。

仕事モードの浅井 廉になればちゃんと対応できるはずた。