【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


百合絵さん…

百合絵さん、お願いです。

どうか香織を連れて行かないで。

あなたの娘をどうか助けてください。

出逢ってから今日まで、香織は僕にたくさんのものをくれた。

宿命を受け入れ立ち向かう力も、恐れずに人を信じる勇気も、全部香織が教えてくれたものだ。

彼女がいるから、僕は強くなれる。

彼女がいるから、浅井という名に押しつぶされること無く立っていられる。

香織には感謝することばかりで、僕はまだ何も返していない。

いつかきっと彼女に相応しい男になって、誰よりも幸せにすると

そう思っていたのに…。

まだなにも果たしていない。

まだ香織に相応しい男になっていない。

たくさん幸せな笑顔をあげることも…

たくさん思い出を重ねることも…

何もできていない。

護るって約束したのに…

命を懸けても護ると誓ったのに…


『命を懸けても必ず護ってやれよ』


命を懸けて…。その言葉に反応したように彼を思い出した。