百合絵さん…
百合絵さん、お願いです。
どうか香織を連れて行かないで。
あなたの娘をどうか助けてください。
出逢ってから今日まで、香織は僕にたくさんのものをくれた。
宿命を受け入れ立ち向かう力も、恐れずに人を信じる勇気も、全部香織が教えてくれたものだ。
彼女がいるから、僕は強くなれる。
彼女がいるから、浅井という名に押しつぶされること無く立っていられる。
香織には感謝することばかりで、僕はまだ何も返していない。
いつかきっと彼女に相応しい男になって、誰よりも幸せにすると
そう思っていたのに…。
まだなにも果たしていない。
まだ香織に相応しい男になっていない。
たくさん幸せな笑顔をあげることも…
たくさん思い出を重ねることも…
何もできていない。
護るって約束したのに…
命を懸けても護ると誓ったのに…
『命を懸けても必ず護ってやれよ』
命を懸けて…。その言葉に反応したように彼を思い出した。



