安田さんが瀕死の重傷で、乱暴に扱えば危険であることも、頭から吹き飛んでいた。
「放せ…っ! 香織を放せ。
…助けて……お願いだ。
香織を助けて…っ!
放してくれえぇぇぇっ!」
助けて…香織を助けて…。
この手を放してくれたら何でもする。
香織を助けてくれたら何でもする。
お願いだ。誰か…
誰でもいい。
神様…いや、たとえ悪魔であってもかまわない。
僕の魂が代償であっても後悔しない。
だから…だから…
お願い。誰かっ…
「…香織を…助けてくれ…」
救いを求め天を仰ぐ。
その瞬間思い出したのは、顔も知らない一族の女性だった。



