どうして僕はいつも香織が危ないときに傍にいないんだ?
どうして僕には彼女を護る力がないんだ?
紀之さんのポルシェに押し付けられたときも…
ホテルで僕を待っていたときも…
僕がもう少し早く来ていれば怖い目に遭うこともなかった。
この間の事だって、僕は傍にいるどころか何もかも終わってからノコノコやってきた。
あの人が助けてくれなかったら、どうなっていたかと思うとゾッとする。
香織は心の傷も癒えぬまま、今また深い恐怖の中にいる。
それなのに僕はまた…彼女を護るどころか、傍に行くことすらできないで佇んでいる。
なんて情けない男なんだ。
このままでは浅井グループを背負い、香織を護り、おじい様と戦うなんて不可能だ。
…もっと大きくなりたい。
強い心が欲しいと、強く思った。



