【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


どうして僕はいつも香織が危ないときに傍にいないんだ?

どうして僕には彼女を護る力がないんだ?

紀之さんのポルシェに押し付けられたときも…

ホテルで僕を待っていたときも…

僕がもう少し早く来ていれば怖い目に遭うこともなかった。

この間の事だって、僕は傍にいるどころか何もかも終わってからノコノコやってきた。

あの人が助けてくれなかったら、どうなっていたかと思うとゾッとする。

香織は心の傷も癒えぬまま、今また深い恐怖の中にいる。

それなのに僕はまた…彼女を護るどころか、傍に行くことすらできないで佇んでいる。


なんて情けない男なんだ。


このままでは浅井グループを背負い、香織を護り、おじい様と戦うなんて不可能だ。

…もっと大きくなりたい。

強い心が欲しいと、強く思った。