そこには銀の月に照らされ、対峙する二人の男の姿があった。
あたしの角度からはお父さんの後姿しか見えなかったけれど、立っているのがやっとなほど弱っていることがハッキリと判かる。
一緒に居るのは小村だった。
廉君の話で彼が危険な人だと解っていたけれど、お父さんが危険だと思ったら、そんな事は頭から瞬時に消えてしまった。
お父さんを助けなければ。
その思いだけで茂みから飛び出そうとした。
その時…
小村から発せられた血の通わない台詞に、あたしはショックの余り一瞬動けなくなった。
「あんたを殺り損ねたせいで、俺も追われる羽目になっちまった。
こうなったら何が何でも、あんたを殺るしか俺が生き残る道はないんでね。
瀕死のあんたを消したところで俺の株は上がらないが、死ぬよりはマシだ。
…覚悟してもらうぜ」
小村がナイフを舐めた赤い舌が、まるで命を吸い上げる生き物のように動いたのがたまらなく恐ろしかった。
あたしの角度からはお父さんの後姿しか見えなかったけれど、立っているのがやっとなほど弱っていることがハッキリと判かる。
一緒に居るのは小村だった。
廉君の話で彼が危険な人だと解っていたけれど、お父さんが危険だと思ったら、そんな事は頭から瞬時に消えてしまった。
お父さんを助けなければ。
その思いだけで茂みから飛び出そうとした。
その時…
小村から発せられた血の通わない台詞に、あたしはショックの余り一瞬動けなくなった。
「あんたを殺り損ねたせいで、俺も追われる羽目になっちまった。
こうなったら何が何でも、あんたを殺るしか俺が生き残る道はないんでね。
瀕死のあんたを消したところで俺の株は上がらないが、死ぬよりはマシだ。
…覚悟してもらうぜ」
小村がナイフを舐めた赤い舌が、まるで命を吸い上げる生き物のように動いたのがたまらなく恐ろしかった。



