居ても経ってもいられなかった。
廉君は仮説だと言ったけれど、お父さんのこれまでの気持ちを考えたら、事実なんてもうどうでもよかった。
安田さんの優しい瞳に見つめられると、いつも言い知れない安心感に包まれる感覚があった。
その感覚は、信頼から来るものなのだろうと思っていたけれど…
やっと分かった。
お父さんだったんだ―…
初めて会った日から、ずっとあたしを温かい目で見守ってくれた優しい笑顔を思い出して、お父さんがどんな想いであたしを見つめていたのかと思うと、心が張り裂けそうだった。
今なら何も言わなくても分かる。
お父さんはあたしをとても愛していた事。
たとえ会えなくても、ずっとずっと、愛し続けてくれていた事。
そう思ったら身体は自然と駆け出していた。



