【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~



俺は奴の最後の姿を前に笑った。


ようやく憎い男への復讐を遂げたのだ。

これほど嬉しいことはないはずだった。

それなのに、何故か心の渇きは癒されなかった。

そのときようやく悟ったのだ。


あいつを殺しても

恨みを晴らしても

何をしても…

百合絵はもう還ってこない。



俺はその場に崩れ、彼女が死んでから、初めて大声を挙げて泣いた。

虚しい想いだけが残り、いっそ彼女の元へ逝きたいとさえ願った。

だが、まだ俺はこの世に残した仕事があった。

百合絵の最後の願いはまだ叶えられていない。


まだ死ねなかった…。