俺は奴の最後の姿を前に笑った。
ようやく憎い男への復讐を遂げたのだ。
これほど嬉しいことはないはずだった。
それなのに、何故か心の渇きは癒されなかった。
そのときようやく悟ったのだ。
あいつを殺しても
恨みを晴らしても
何をしても…
百合絵はもう還ってこない。
俺はその場に崩れ、彼女が死んでから、初めて大声を挙げて泣いた。
虚しい想いだけが残り、いっそ彼女の元へ逝きたいとさえ願った。
だが、まだ俺はこの世に残した仕事があった。
百合絵の最後の願いはまだ叶えられていない。
まだ死ねなかった…。
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