「もうビックリするじゃない。いきなりどうしたの?」

僕を見上げる香織の声にハッとして、慌ててゴクリと理性を飲み込んだ。


…っ、僕は何をしようとしたんだ?


久しぶりに会ったせいか、いつもと違う環境からか、今日は驚くほど大胆な自分がいる。

所構わず掠めるようにキスしてしまうのはいつもの事。

だけど、あんなにも濃厚なキスをしたのは初めてだった。

さらに、彼女を求めて暴走しそうになるなんて…今までではありえないことだ。

しかも母親の前で、だ。

待ち焦がれ、ようやく愛しい彼女を腕に抱いたせいだろうか?

今日はどうも理性と本能のバランスが崩れているらしい。

こんな事で夏の間、香織に手を出さずに過ごせるんだろうか。