「百合絵さんが産んだ子は一人じゃなかったんだ」



繋いだ手を通して香織が緊張の余りビクッと震えるのが伝わってきた。

言葉の意味を問う視線を受け止めて、その手を両手で包み込むと、混乱している香織に一言一言を説明するように丁寧に言葉を続けた。

「つまりね…香織と紀之さんの義妹の百合子さんは…双子の姉妹なんだよ」


静まり返る部屋。


香織の瞳が大きく見開かれた。


「………な…に?
…何を馬鹿なことを…大体双子って…全く似ていないし…何をどう考えたらそうなるんだ?」

紀之さんの擦れた声が部屋の静寂に吸い込まれていく。


導きだした幾つかの答えを順に頭の中に並べてみる。


それから繭の中の真実を取り出すように、慎重に言葉を選んで話し出した。


手紙にも綴られることのなかった、哀しい真実を。