【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


紀之さんから聞いた話は余りにも酷似している。

同じ日に聞いたから、関連付けて考えてしまうだけなのだろうか。

それでも湧き上がってくる疑問を流せなくて、あらゆる可能性を考察してみた。

色んな情報がグルグルと頭を駆け巡る。

それらを必死に引っ張り出しては整理してゆく。

やがて、一つの可能性にたどり着いた。

あくまでも仮説に過ぎないが、その可能性は皆無ではなく、仮説が正しければすべて辻褄が合うことに気付いた。


真実を確かめたい気持ちはある。


だが香織にとって事実を知ることは、はたして幸せなことなのだろうかと思い始めていた。

何も知らずにいたほうが幸せだとおばあさんは言ったが、本当にその通りなのかもしれない。


僕の考え違いであって欲しい…


そう祈るしかなかった。