紀之さんから聞いた話は余りにも酷似している。
同じ日に聞いたから、関連付けて考えてしまうだけなのだろうか。
それでも湧き上がってくる疑問を流せなくて、あらゆる可能性を考察してみた。
色んな情報がグルグルと頭を駆け巡る。
それらを必死に引っ張り出しては整理してゆく。
やがて、一つの可能性にたどり着いた。
あくまでも仮説に過ぎないが、その可能性は皆無ではなく、仮説が正しければすべて辻褄が合うことに気付いた。
真実を確かめたい気持ちはある。
だが香織にとって事実を知ることは、はたして幸せなことなのだろうかと思い始めていた。
何も知らずにいたほうが幸せだとおばあさんは言ったが、本当にその通りなのかもしれない。
僕の考え違いであって欲しい…
そう祈るしかなかった。



