血に染まった絨毯。
ローテーブルの上には産み落とされたままの赤ん坊。
聞き取れないほどのか細い泣き声に、かろうじて赤ん坊が生きていることを確認できた。
そしてその傍らには、手首に深い傷を負い大量の血を流した彼女が、突っ伏すようにして倒れていた。
彼女はどれほど孤独だっただろう。
どれほど俊弥を待ち続けていただろう。
初めての出産で、誰に頼ることも出来ず、たった独りで小さな命を産み落とした彼女は、精神的にも肉体的にもボロボロだった。
俊弥が現れないことへの不安は徐々に疑心へと変わっていく。
そのとき、彼女は見つけてしまった。
俊弥の名前が書かれた別れの手紙を。
それは俊弥が裏切ったと思い込ませる為に夫が仕掛けた罠。
見張りが去り際においていったものだった。



