俊弥からの手紙の内容。
それは余りにも悲惨な恋の結末を告白するものだった。
俊弥は有名企業の社長子息の秘書だった。
優秀だった彼は社長に見込まれ、三十前にして次期社長の片腕としてその将来を有望視されていた。
そんな中、彼はあるパーティで一人の女性と出逢った。
二人は惹かれあっていたが、彼女は良家の娘で、俊弥の上司である社長子息との婚約が決まった身だった。
会社をより深く結ぶ為の政略結婚故、逃げることも破談にすることもできず、彼女は自分の意志など関係なく嫁ぐしかなかった。
だが愛人を何人も抱える上司にとって、彼女は形だけの妻だった。
幸せとは言い難い結婚生活に心を痛めた俊弥は、彼女と逃げなかったことを心から悔やみ、一生見守り続けることを決意していた。
そんなある日、彼女もまだ俊弥を愛していることを知った。
互いの気持ちを知った二人の距離は急速に近くなり、逢瀬を繰り返すようになる。
やがて…彼女は俊弥の子供を身ごもった。



