【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

「ねぇパパ、あたしは廉君の傍にいたいの。
廉君はあたしを護ってくれるって約束したわ。お願い」

「ダメだ香織。廉君は良い青年だと思うが、お前を危険な目に遭わせると分かってる交際は認められない」

「イヤよ! たとえ別れても狙われるのよ。
だったら別れる必要ないじゃない。お願いパパ、あたし達の事を認めて!」

「香織。私達には親としてお前を幸せにする義務があるんだよ。
こんなリスクの高い危険な交際を許すことは出来ないんだ」

それを聞いた香織はまるで電気仕掛けの人形のようビクリと動きを止めた。

暫く黙って俯いていたが、やがて小刻みに肩を振るわせ、クスクスと笑い始めた。

それまで縋るように潤んでいた瞳は冷たく影を落とし、どこか狂気めいたものが滲んでいる。

「親としての義務?
本当の娘じゃないのに…」

「―っ!香織?」

「…思い出したの。
あたしは本当の父親に捨てられたの。
そうでしょう?」

突然の衝撃的な告白にご両親も僕らも言葉を失った。