「…でもね、君との事が原因で今後も故意に狙わる可能性があるならば、このまま交際を続けることは賛成できないんだ」
一番恐れていたこと。
ある程度覚悟はしていたけれど、こうもはっきりと秋山氏から言われると苦しいものがある。
彼女を手放すなんてできない。
第一別れたからって、香織が狙われない保障はどこにもない事は今日の出来事で証明されたばかりなんだ。
「そのことなんですが…」
絶対に別れないと言ったら、今度こそ殴られるだろうと覚悟を決め口を開いたとき、それまで黙って聞いていた香織が口を開いた。
「待って、パパ。あたしなら平気よ。
だから別れろなんて言わないで」
「香織、このまま彼と付き合っていたら、また同じことが繰り返されるかもしれない。それを承知で交際を認めるなんてできるはず無いだろう?」
「別れたって狙われるのよ。
あたしを狙った人の本当の目的は廉君と別れさせることじゃなく、あたし自身なのかもしれないわ」
寝耳に水の事実に愕然として、思わず香織の両肩を掴んで向き直った。



