【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


香織も不安は同じなのだ。

いや、この二日間であれだけの恐怖を味わって、本来なら逃げ帰りたいと思ってもおかしくない筈。

それでも香織は僕と同じ気持ちでここにいてくれる。

そう思ったら、何も恐れるものは無くなった。

たとえ反対されたって、きっと説得してみせるよ。

君の安全が保障されるまでは、何があっても目を離すわけにはいかない。

どんなことをしても、きっと護ると決めたのだから…。

「…帰すつもりはないよ。
さっき言っただろう?もうイヤだといっても僕から離れられないって、ね?」

コクンと頷く香織の手をギュッと握り締めた。


触れた部分から伝わる熱に、二人の鼓動が同じリズムを刻んでいるのを感じる…


瞳を交わし一つ深呼吸する―…


二人で同時にドアを開いた。