香織も不安は同じなのだ。
いや、この二日間であれだけの恐怖を味わって、本来なら逃げ帰りたいと思ってもおかしくない筈。
それでも香織は僕と同じ気持ちでここにいてくれる。
そう思ったら、何も恐れるものは無くなった。
たとえ反対されたって、きっと説得してみせるよ。
君の安全が保障されるまでは、何があっても目を離すわけにはいかない。
どんなことをしても、きっと護ると決めたのだから…。
「…帰すつもりはないよ。
さっき言っただろう?もうイヤだといっても僕から離れられないって、ね?」
コクンと頷く香織の手をギュッと握り締めた。
触れた部分から伝わる熱に、二人の鼓動が同じリズムを刻んでいるのを感じる…
瞳を交わし一つ深呼吸する―…
二人で同時にドアを開いた。



