彼女を抱くのは僕が自分に自信を持てたらと決めていた。
だからこそ、別れを決めた夜も、僕らは抱き合うだけで肌を重ねることはしなかった。
たとえ最後だと解っていても…
それでも香織に自分を刻むことよりも、彼女を大切にしたい気持ちが強かった。
それなのに、今はどうだ?
情緒不安定な香織を、感情のままに抱こうとしている。
いけないとは解っている。
なのに箍が外れたように彼女を求める気持ちを止める事ができない。
キスを繰り返しながら、濡れて硬くなったネグリジェの紐をもどかしげに解き足元に落とすと、湯気の中に眩しいほどに白い肌が浮かび上がった。
心拍数は限界値を振り切って、冷静などという言葉は僕の中から消滅寸前だった。
紳士的に振舞いたいところだが、互いに初めての行為に感情ばかりが先走ってしまう。
何とか暴走しそうな自分を抑えようと、バスローブで彼女を包み抱き上げた。



