力尽きたように沈んでいく香織の姿に血の引く思いで、僕は必死に泳いだ。
ようやく追いつき意識を確認するが反応は鈍い。
口移して酸素を送り込みながら浮上すると、水面に出たとたん激しく咳き込んだ。
「バカッ!何をやってるんだ!死ぬ気か?」
これまでにも喧嘩をしたことはあったけれど、香織に対してこんなに声を荒げたことなどなかった。
だが、今回ばかりは僕も本気で怒っていた。
ショックが重なったのは分かる。
だが、一歩間違えば死に至る泳ぎ方をしていることは、彼女だって分かっていたはずだ。
「…れ…ん…?」
「良かった…香織が自殺しようとしたのかと思った」
病院で目覚めてから初めて声を発した香織にホッとして、抱きしめる腕に力を込めた。
「死んだほうが良かったのかもしれない」
「香織っ!なんて事を言うんだっ」



