【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


力尽きたように沈んでいく香織の姿に血の引く思いで、僕は必死に泳いだ。

ようやく追いつき意識を確認するが反応は鈍い。

口移して酸素を送り込みながら浮上すると、水面に出たとたん激しく咳き込んだ。

「バカッ!何をやってるんだ!死ぬ気か?」

これまでにも喧嘩をしたことはあったけれど、香織に対してこんなに声を荒げたことなどなかった。

だが、今回ばかりは僕も本気で怒っていた。

ショックが重なったのは分かる。

だが、一歩間違えば死に至る泳ぎ方をしていることは、彼女だって分かっていたはずだ。

「…れ…ん…?」

「良かった…香織が自殺しようとしたのかと思った」

病院で目覚めてから初めて声を発した香織にホッとして、抱きしめる腕に力を込めた。

「死んだほうが良かったのかもしれない」

「香織っ!なんて事を言うんだっ」