溺れたあたしは、近所の人に助けられ一命を取り留めた。
そして、目覚めたときには、父の事も自分の出生の事も、胸の奥の深いところに『忘れる』という形で無意識に封印してしまっていた。
それからは、少しずつ声も戻り始め、おばあちゃんや両親の愛情を受け、以前と変わりない生活を取り戻していった。
唯一つ、変わったことがあるとすれば、以前より人を思いやれる性格になったこと。
家族や友人の気持ちや幸せを、自分より優先して考える性格になったことかもしれない。
どんなに苦しくても
どんなに哀しくても
苦しいときほど笑顔を絶やさず
哀しいときほど微笑んでみせる
大切な人を心配させないように
大好きな人が幸せになるように
もう誰もあたしを捨てたりしないで―…
胸の奥深くに封印にしたその思いが
そうさせている事も忘れて―…



