【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


溺れたあたしは、近所の人に助けられ一命を取り留めた。

そして、目覚めたときには、父の事も自分の出生の事も、胸の奥の深いところに『忘れる』という形で無意識に封印してしまっていた。

それからは、少しずつ声も戻り始め、おばあちゃんや両親の愛情を受け、以前と変わりない生活を取り戻していった。

唯一つ、変わったことがあるとすれば、以前より人を思いやれる性格になったこと。

家族や友人の気持ちや幸せを、自分より優先して考える性格になったことかもしれない。


どんなに苦しくても

どんなに哀しくても

苦しいときほど笑顔を絶やさず

哀しいときほど微笑んでみせる

大切な人を心配させないように

大好きな人が幸せになるように



もう誰もあたしを捨てたりしないで―…


胸の奥深くに封印にしたその思いが


そうさせている事も忘れて―…