中学2年生の時、あたしは転校先の学校でイジメに遭った。
きっかけは、クラスで人気のある男の子の告白を断ったという些細なことだった。
転校してすぐに成績がクラスでトップになり、入部した水泳部で先輩を凌ぐタイムを出したあたしは、急激に注目を集めていた。
それが一部の女子の癇(かん)に障ったらしい。最初は女子の悪戯程度のものだったのが、どんどんエスカレートし、次第に男女関係無く、クラス全員があたしに嫌がらせをするようになった。
仲の良かったクラブの友達も、危害が及ぶことを恐れあたしから離れていった。
あたしは、もう何を信じていいか分からなかった。
両親に知られたくなくて、必死に隠し続け、変わらぬ笑顔で過ごしていたけれど、ある時、鞄をカッターでズタズタに引き裂かれた事がきっかけで、両親の知るところとなった。
それから、あたしは笑わなくなった。
もう無理をして笑う必要が無くなったから。
生きていることが辛くて、何度も死にたいと思った。
感情が欠落したように、表情無くただ生きているだけのあたしを見かねた両親は、学校を休学させおばあちゃんの元へと預けた。
学校からも辛い現実からも離れ、転校前の土地で過ごすことで笑顔を取り戻して欲しいというのが、両親の願いだったのだろう。
まさか、それによって隠し続けた事実を知られることになるとは、思ってもみなかったのだと思う。



