【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

水しぶきが星のように煌き飛散する

声を出すことも忘れ、金縛りにあったようにその場に立ち尽くす。

彼女が消えた水面に大きく広がった波紋が、やがて収まる頃になって、ようやく僕は焦りを覚えた。

なかなか水面に上がってこない香織に、心臓がフルスピードで騒ぎ出す。

昼間とは違い、夜の闇で頼れるものは月明かりと、プールサイドの僅かな外灯だけだ。

それすらも水面に反射して、水中の彼女の様子をはっきりと窺い知ることは難しかった。

自殺という二文字が頭を過ぎった。


まさか…


香織は潜りが得意だ。

つい先日だって、随分長く水に潜って驚かせたじゃないか。

どんなに言い聞かせてみても、今のこの状況を遊びで潜ったと考えるのには無理があった。
部屋着の上だけを脱ぎ捨て飛び込むと、薄明かりの中香織の姿を追う。


香織はすぐに見つかった


水底に…まるで胎児のように自分を抱きかかえて。