【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


部屋へ戻るとネグリジェを着た香織がプールサイドに立っていた。

思いつめた表情で水面を見つめている。

銀の月に照らされた水面が反射して、香織の横顔に陰影を作る。

温もりも優しさも感じられない冷たい横顔。

蒼白く照らされ、今にも水面に吸い込まれてしまいそうだ。

そこに居るのに、手が届かないような…

すぐ傍なのに、ガラス越しで見ているような…

まるで彼女が魂を持たない人形のような錯覚に囚われる。

ゾクリと背筋が寒くなった。


「香織…気分はどう? 少しは落ち着いた?」

出来るだけ平静を保って近づくと、香織はゆっくりと顔を上げた。

そして次の瞬間…

ユラリと傾いだ身体が月夜に反射する水面へと消えた