【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~


夢の中で、あたしは廉君の傍に戻りたいと願った。

どんなに苦んでも、どんなに辛くても、きっと耐えてみせると思っていた。

だけど目覚めたあたしの目の前にあったのは、自分を責め、あたしを護る為に、仕事も家族もプライベートも全てを犠牲にしようとしている廉君の姿だった。

夢の中で願ったことはこんな現実じゃなかった。

彼の傍にいたいとは思うけれど、彼を不幸にしたいとは思わない。

あたしを護ることだけを考えていたら、廉君は何も出来なくなってしまう。

このままじゃあたしは廉君の足枷になる。

そんなのは嫌だ!

あの日、激流の中であたしは誓ったはずだった。

決して誰の枷にもならない生き方をすると。

決してあの人と同じ生き方はしないと。

それなのに、廉君の重荷でしかない自分の状況が悔しくて、どうしていいかわからなかった。

どうしたらいい?

いっそあたしなんていなければ…

そんな事ばかり考えている自分が益々嫌になる。

グルグルと堂々巡りを繰り返す思考は、いつしか自分自身を追い詰めていった。