目覚めてからも意識がぼんやりとしていて、廉君の問いかけにも上手く答えることができなかった。
それは薬が効いていたからだけでなく、哀しい過去を思い出してしまったせいだったのかもしれない。
入院せずに別荘へ帰ると言われたときも、頭の中は思い出した事実でいっぱいに占められていて、黙って頷く事しか出来なかった。
別荘に戻ってからも、あたしはまだフリーズしたままだった。
余りにも衝撃的な事実に、心の整理がつかず、どうしていいか分からないままに母屋のお風呂から戻ると、廉君はいなかった。
不安定な心を抱えたあたしは、廉君がそこにいなかったというだけで、まるで世界に自分ひとりだけ取り残されたような気分になった。
不安で、言いようのない哀しみと孤独感に心が侵食されていく。
彼が先ほどまで居たことを感じさせるプールサイドのチェアーにもたれると、水面に映る月を見つめた。
蒼白く揺らめくその姿が、病院で見た血色のない廉君の表情に重なって、視線が釘付けになった。
廉君はあたしが危険な目に遭ったことで、凄く責任を感じている。
彼を哀しませたくなかった。



