病院で意識を取り戻したとき、廉君はあたしの手を握っていた。
夢の中から呼び戻してくれた温かな手は、やはり彼だった。
嬉しく思うと同時に、疲労を滲ませる表情に、また彼の負担になってしまったのだと申し訳なく思った。
廉君に抱き寄せられ、避難スペースへ滑り込んだ後の記憶は途切れ途切れで良く覚えていない。
何もかもが夢現(ゆめうつつ)で…
どこまでが夢でどこまでが現実だったのかも解らなかった。
命の危険を目の当たりにすると、これまでの出来事が走馬灯のように蘇るという話を聞いたことがあるが、実際にあたしもあの瞬間そうだった。
生まれてから今日までの色んなシーンがフラッシュして、瞬時に脳裏を駆け巡っていった。
そして…あたしは思い出してしまった。
ずっと忘れていたこと。
忘れようとして、記憶の奥底にしまっていた真実を…。



