【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

眼を覚ました香織を、医師は一晩入院するよう説得したが、僕はそれを強引に振り切って別荘へ連れ帰った。

香織は目覚めてから一言も話さない。

感情が抜け落ちたように何処か虚ろで、僕の問いかけには答えるものの、声を発することも無い。

極度の疲労や恐怖から来る一時的なものだろうと医師は診断したが、彼女の心の傷は思った以上に深い事を思い知らされた。

医者の勧めどおり、入院させたほうが彼女の為には良いのだろうと思う。

だが、夜間に付き添うことが出来ない以上、独りで病院に残すなど、とても出来なかった。

僕はもう、片時も彼女から目を離さないと決めていた。

どんなことがあっても、誰に何を言われても、彼女を護る為ならどんなことも厭わないと決心していた。