きっとあたしは、その場に相応しくない、幸せな表情をしていたと思う。

轟音と共に迫り来る貨物列車の風圧に、よろめきそうになった時、強く腕を引かれ、誰かに抱きしめられた。

信じられなかった

廉君の温もりに包まれていることが…

きっとこれは夢。

あたし…きっと死んだんだ。

だから、神様が望みどおりの夢を見せてくれているんだ。

だって信じられない。

あたしは線路に落ちて…だから廉君があたしを抱きしめているはずが無いわよね。

きっと夢…。

夢なら…泣いても良いよね?

ずっと我慢していたんだもん。

神様が幸せな夢を見せてくれたのは、きっと彼の腕の中で泣きたいと願った、あたしの最後の望みを叶えてくれたのだと思う。