『香織っ!にげろーっ!』



廉君の声に顔を上げると、いるはずの無い彼の姿があった。


硬直し動くことも出来ないあたしの目の前には、迫り来る貨物列車。

幻でもいい。

死ぬ前にもう一度会えてよかった…

そう思ったら恐怖は消え、心から笑うことが出来た。

これが最後なら…あたしの笑顔を覚えておいて欲しい

あたしはあなたに出逢えて、恋をして、とても幸せだったから…

廉君、最後に会えて嬉しかった…

あなたの事が大好きだったわ―…