【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

おじい様の息子は優しい方で自ら相続の権利を放棄し、更に自分の子供達に家に縛られない幸せな結婚を望んだ為、闇の力に抹殺されたという噂は有名だ。

泉原家に嫁いだ砂姫様は兄の死を酷く嘆かれ、以来実家の春日家には一度も足を運んでいないと聞く。

残された三人の孫の内、男子の二人に期待が寄せられたが、長男の颯(はやて)さんが服毒自殺を図り、次男の篤さんが家を出て、春日は後継者を失った。

唯一残った娘である母さんは行方不明で、10年後に発見されたときには失踪中の記憶を一切失い、子供を望めない体になっていた。

母さんに息子がいることを誰も知らない今、春日の血筋は篤さんの二人の娘だけということになる。

もしも母さんの息子の事が明るみに出たら、おじい様はきっと、彼の意志など関係なく後継者として祀り上げるだろう。

そして紀之さんは必ず彼を味方につけようと動く。

なんて血生臭い話なんだろう。

これが自分を含むごく近い身内の話なのだ。