紀之さんは諦めたようにフッと笑ったが、僕は内心動揺していた。 母さんの息子… 考えてみれば彼はただ一人の正当な春日の後継者なのだ。 「タツヤ」という名前が一瞬胸を過ぎる 彼はこの悪夢を断ち切る鍵になるのだろうか いや、ダメだ。 一族の因縁に囚われる事無く、何処かで幸せに生きている義兄を… この忌まわしい呪縛の中に巻き込むわけにはいかない。